秋になると着たくなるパーカー。「パーカー」はもともと北極圏の人々が着ていた毛皮のフード付きの防寒着を指す言葉でした。今の英語では日本でいうパーカーのことを「フーディー(hoodie)」と呼びます。最近はフーディーの表記もよく目にしますね。
フード付きのスウェットが生まれたのは1930年代ごろのアメリカです。寒い倉庫で働く人や、出番を待つアメリカンフットボールや陸上競技の選手が体を冷やさないように作られたと言われています。選手向けのものは当時「サイドライン・パーカ」と呼ばれていました。
オリジナルパーカーを作るときに迷うのが生地の厚さや裏地、シルエットです。Factory antではいくつかのメーカーのパーカーを扱っていますが、その中から種類やバリエーションが豊富なユナイテッドアスレのパーカーを例に、ファクトリーの目線で選び方と加工との相性を紹介します。

パーカーの「オンス」とは
パーカーやTシャツなどで「オンス(oz)」という表記を見たことがあるかもしれません。オンスとは生地の重さを表す単位です。1平方ヤード(約91cm四方)あたりの生地が何オンスあるかで表していて、1オンスは約28グラムです。数字が大きいほど生地は重いのでしっかりしたボリュームに。逆に数字が小さいと軽くなります。
オンスはあくまで生地の重さで、見た目の厚さと同じではありません。たとえば「ダンボールニット」のパーカーは2枚の生地を糸でつないだ段ボールのような構造で、中に空気の層があります。ふっくら厚く見えるのに重さは9.4オンスで着てみると軽く感じます。
ちなみにスウェットは洗濯で縦に縮みやすい生地です。縦の縮みを抑えるために生地の目を横向きに使う作り方が、1938年にアメリカのチャンピオンで特許になりました。今のパーカーにも生地の目を横に使ったものがあります。

厚さで選ぶ:8.8オンス・10オンス・12.7オンスの違い
Factory antでは10オンスを標準的な重さとしています。ユナイテッドアスレのパーカーならもう少し軽いものは8.8オンス、ヘビーなものなら12.7オンスがあります。この3つで厚さの違いを比べてみます。
重さ | オンス | 品番 | こんなときにおすすめ |
|---|---|---|---|
軽め | 8.8オンス | 5397(ジップ)・5398(プルオーバー) | 春や秋の羽織りに。重ね着しやすく、軽く着たいとき |
ごく普通 | 10.0オンス | 5213(ジップ)・5214(プルオーバー) | スタッフウェアやグッズに。物販商品のベースとしてもおすすめ。迷ったらまずはこれ |
重め | 12.7オンス | 5767(ジップ)・5768(プルオーバー) | 寒い時期にアウター感覚で着たいとき。しっかりした厚みで長く着たいとき |
3つともコットン100%の裏パイルで、Lサイズの身幅はどれも58cmです。形はほぼ同じでオンスだけが違うので、違いを比べるのにちょうどいい組み合わせです。重めの12.7オンスは、いわゆる「ヘビーオンス」と呼ばれる厚手のパーカーです。
標準とする10オンスのパーカーはスタッフウェアやグッズといったアイテムとしてもよく使われる定番パーカーです。どれを選べばいいのか迷ったら、まずは10オンスのパーカーを選ぶのが無難だと思います。

裏地で選ぶ:裏パイル(裏毛)と裏起毛
パーカーの裏地には大きく分けて2種類あります。表から見ると同じように見えても裏返すと違いが分かります。
裏パイルは裏側の糸をタオルのような小さなループ状に編んだ生地で「裏毛」とも呼ばれます。裏起毛はループを編んだあとに毛羽立たせた生地です。
起毛させることで生地に厚みが出て暖かさが増します。「裏起毛ではないパーカー」を探しているなら裏パイルや裏毛と書かれたものを選びます。
比べるところ | 裏パイル(裏毛) | 裏起毛 |
|---|---|---|
裏側のつくり | タオルのようなループ状 | ループを起こして毛羽立たせている |
肌ざわり | タオルのような感触 | ふんわりやわらかい |
暖かさ | 裏起毛よりひかえめ | 暖かい |
汗の吸いやすさ | 吸いやすい | 裏パイルより吸いにくい |
向いている季節 | 春と秋を中心に1年を通して | 秋の終わりから冬 |
1枚で着る気温の目安 | 15〜20度前後 | 10〜15度前後 |
素材(10.0オンスの例) | コットン100% | コットン52%・ポリエステル48% |
裏パイルはタオルと同じようにループが汗を吸い取ってくれる生地です。通気性もよく裏起毛ほど熱がこもらないので季節を問わず使えます。春や秋は1枚で、冬は上着の下に、夏は冷房よけの羽織りにもなります。ごわつきにくいので重ね着もしやすく、スポーツやアウトドア、室内で着ることが多いスタッフウェアにも向いています。真冬に1枚で着ると寒く感じることがあるので、寒い場所で着るなら裏起毛が向いています。ちなみに英語では「フレンチテリー」と呼ばれ、商品名にそう書かれていることもあります。
裏起毛は暖かさがいちばんの持ち味です。冬の屋外のイベントのように寒い場所で着るパーカーに向いています。そのぶん室内でずっと着ていたり体を動かしたりすると暑く感じることがあります。
ちなみに保育園では、子どもの服に裏起毛を避けるよう決めているところもあります。子どもは体温が高く、裏起毛だと熱がこもって汗をかきやすく、その汗で体が冷えてしまうことがあるためです。


シルエットで選ぶ:すっきり・ボックスシルエット・ビッグシルエット
厚さと同じくらい気にする方が多いのがシルエットです。同じ10.0オンス・コットン100%の裏パイルで、形の違う3つをLサイズで比べました(単位はcm。メーカー公式のサイズ表より)。
シルエット | 身丈 | 身幅 | 肩幅 | 袖丈 |
|---|---|---|---|---|
すっきり(5214) | 71 | 58 | 52 | 62 |
ボックスシルエット(5201) | 66 | 64 | 61 | 59 |
ビッグシルエット(5204) | 72 | 71 | 71 | 52 |
- すっきり:定番の形。3つの中ではいちばんすっきりしたシルエットです
- ボックスシルエット:丈は短めで身幅や袖まわりに少し余裕を持たせたシルエット。コットン100%の裏パイル(5201)が今季新しく加わりました
- ビッグシルエット:名前の通り明らかに大きいシルエット。肩が大きく落ちるので袖丈の数字は短く見えますが、首の付け根から袖口までの長さはほかの2つとほとんど変わりません
素材が同じならシルエットが変わってもプリントや刺繍加工の方法は変わりません。好みのシルエットのパーカーを選んでください。
今季の新作から
ユナイテッドアスレの今季の新作から、Factory antが気になっているパーカーを紹介します。
フェードウォッシュ(5265・5266)
8.8オンス・コットン100%の裏パイル。製品にしてから洗いをかけて古着のような色合いに仕上げたパーカーで、色はフェードブラック・フェードグレー・フェードネイビーの3色です。ビンテージ風の色の仕上がりなのでパキッとしたプリントよりもクラシカルな刺繍のほうが似合いそうです。

ボックスシルエット(5201)
10.0オンスのジップパーカー。丈を短めにして身幅や袖まわりに少し余裕を持たせたボックスシルエットに、コットン100%の裏パイルが今季新しく加わりました。厚さは定番と同じです。コットン100%素材なので各種プリント加工や刺繍などどんな加工にも合う万能なパーカーです。サイズの違いは上の「シルエットで選ぶ」で比べています。

軽くて暖かい裏起毛・ソフトブレンド(5385・5386)
8.3オンスと軽めの生地に裏起毛を組み合わせたパーカーです。大きめのフードと大きめのカンガルーポケットが特徴。軽い着心地なのに裏起毛で暖かく、そのまま着ても重ね着しても使えます。素材はポリエステル60%・コットン40%(表の糸はコットン100%)なので、プリントはDTFなどがおすすめです。

厚さの割に軽いダンボールニット(2291・2292)
段ボールのように2枚の生地を糸でつないだ構造のパーカーです。中に空気の層があるので、厚さの割に軽く長い時間着ていても負担になりません。見た目はスポーツウェア風です。今季はオフホワイトとシティグリーンの新色が加わりました。
素材がコットンではないのでガーメントプリントの加工ができません。

パーカーに合うプリント加工
オリジナルパーカーを作るとき、生地の厚さや素材によってどの加工方法が最適なのか。Factory antのおすすめをまとめました。
- ごく普通の10オンス:スタッフウェアやグッズならコスパのいいスクリーンプリント。フルカラーのデザインならDTFやガーメントプリント。刺繍の相性もいい万能なパーカーです
- 重めのパーカーやフェードウォッシュ:ラバー転写のフロッキーが意外とよく合います。Tシャツとは違うボリュームのある生地に、フロッキーのふっくらした起毛感がなじみます。クラシカルな刺繍もおすすめです
- 裏起毛のパーカー:DTFがおすすめです。熱には少し気をつけたい生地ですが、この記事で紹介している裏起毛は表面がコットンなのであまり神経質になる必要はありません。お渡しの時点でプレス跡が残っていることもありますが、スチーマーなどで整えるときれいになります。スクリーンプリントは色を何度も重ねるものを避けて、シンプルなデザインにおすすめです
- ダンボールニット:エッジがシャープに仕上がるDTFやラバー転写が合います。ただし熱で圧着するのでプレス跡が残る可能性があります。熱に敏感な生地なので重ね塗りをするスクリーンプリントは避けたいところです。シンプルなデザインならスクリーンプリントもおすすめです。
パーカーにガーメントプリントする場合の注意点ですが、ガーメントプリントは基本的にはコットン素材にプリントする方法です。裏起毛のパーカーも表面がコットンなのでプリントできます。ただし裏パイルでも裏起毛でも、ボディの色によってはプリントの前に行う下処理の跡が残る場合があります。また、ポリエステルが混ざっている裏起毛のパーカーはブリード(熱で生地の色がプリントに移ってしまうこと)が起こる可能性もあります。物販の商品を作る場合などは注意が必要です。
ブリードについては「ドライTシャツのプリントが変色する?─ ブリードとシリコンインクの話?」でくわしく紹介しています。
刺繍については「持ち込みでも刺繍って頼めるの? 刺繍をお願いする前に知っておきたいこと」で紹介しています。
オリジナルパーカーはいくらで作れる?
オリジナルTシャツの製作と同じくアイテムとなるパーカーと製作枚数、プリント方法や色数、箇所数によって価格が変わります。枚数が多いほど1枚あたりがお得になります。
簡易見積ではパーカーの品番を選んで枚数やプリントの場所、色数を入れると、おおよその金額を確かめられます。メーカー価格の決まっている10オンスや軽めの8.8オンスのパーカーはその場でおおよその価格が分かります。重めの12.7オンスやフェードウォッシュなどはオープン価格なのでお問い合わせください。裏起毛のパーカーにガーメントプリントをしたいときも、簡易見積では選択できないのでお問い合わせください。
まとめ
- オンスは生地の重さ。数字が大きいほど重く厚くなりますが、見た目の厚さとは同じではありません
- Factory antでは10オンスを標準的な重さとしています。軽めなら8.8オンス、重めなら12.7オンスです
- 裏起毛にもガーメントプリントはできますが、ボディの色によってはプリントの前に行う下処理の跡が残る場合があります。また、ポリエステルが混ざっているのでブリードが起こる可能性があります。販売するアイテムとして製作する場合は注意が必要です
- シルエットはすっきり・ボックス・ビッグ。素材が同じなら加工のしかたは変わりません
- スクリーンプリントなのか、またはDTFやフロッキー、刺繍など加工方法を生地に合わせて選ぶと仕上がりがより引き立ちます
Factory antでパーカーを作るときは、着る場面や好みの厚さ、シルエットを相談しながら納得のオリジナルパーカーを一緒に考えます。





