ここ3〜4年くらいで比較的新しいプリント方法が「DTFプリント」というプリント方法です。国内で本格的に広がり始めたのが、ここ3〜4年くらいで比較的新しいプリント方法です。
Factory antがDTFというものを知ったのは、まだ「広がる前」のこと。2020年12月ごろたまたま動画サイトで「インクジェットプリンタで転写フィルムに出力して、熱で生地に転写する」という海外のプリント方法を見つけて「面白そう」と取引のある材料屋さんに連絡したのが始まりです。
DTFプリントってなに?
DTFとは「Direct to Film(フィルムへの直接印刷)」の略で、専用のフィルムにプリントして接着パウダーを乗せて、熱プレスで生地に転写するプリント方法です。
工程としては、フィルムにデザインをプリントして、その上に接着パウダーを散布、加熱してインクとパウダーを定着させてから転写フィルムを生地に熱プレスで貼り付ける、という流れです。
シルクスクリーンプリントが100年以上、ガーメントプリント(DTG)が約20年の歴史があるのに対して、DTFはざっくりと実用化からまだ3〜4年。アパレルプリントの中でも新しい世代のプリント方法です。




動画サイトで見つけてファクトリーの
ガーメントプリンターでDTFを試してみる
最初のきっかけは、2020年12月頃にDTFという言葉が日本ではまだほとんど知られていなかった時代でインクジェットプリンタでフィルムに出力して、パウダーを振って、熱で生地に転写する。という動画サイトで見た海外の動画。「こんなことできるんだ」と、いつもお世話になっている青梅市にある「プリズムスクリーン」さんに連絡。プリズムスクリーンはスクリーンプリント材料を中心にお付き合いがあって、新しい技術の話をよく情報交換させてもらっているあいだがら。
ファクトリーにあったエプソンのガーメントプリンタを使って、試しに印刷してみることに。意外と簡単にはいかず。スクリーンプリント用の転写シートで試したところ、インクがシートの上をはじいてしまったり、インクが混ざったりとまともにプリントできない。その後何種類かのシートを取り寄せて、ひとつずつ試行錯誤を重ねたりしていました。




まずはガーメントプリンターでDTF運用、国産機を待つ
その後ようやく安定したDTF用のフィルムも見つかったのでしばらくは、ガーメントプリンタを使った「DTFプリント」でDTF向きのデザインに対応していました。
この頃、海外製のDTF専用プリンタが市場に出始めていたのですがトラブルが起きたときや故障した場合のパーツ供給は大丈夫なのか? とかファクトリーで日々動かす機材として安心して使えるのかなど心配もあるし「とりあえず買っちゃえ!」というような金額でもないのでFactory antでは導入を見送り。
「DTF専用のプリンターはほしいけど海外製のプリンターはちょっと難しいかな……」そんな期間が約2年ほど続きました。




ミマキから国産DTFプリンタが登場!
2023年2月、ミマキエンジニアリングからDTFプリンタ「TxF150-75」が発表。DTF機の課題だった「インク吐出不良」や「白インク詰まり」をミマキの技術で解決した設計らしい。待っていた「国産DTFプリンター」がようやく出てきたということで、発表後すぐに導入を決めて晴れてDTF専用マシンを導入となりました。




Factory antでのDTF活用事例
うさぎのキャラクターがプリントされたは赤いビブスはアニソンアイドル・上月せれなさん(@Serena_Kozuki)のライブ用ビブスです。赤いポリエステル素材に、トレードマークのうさぎキャラクターをフルカラーでプリントしています。フルカラーイラストのデザインを発色、細部の再現性とDTFの強みが生かされたアイテムに仕上がりました。前面には「上月せれな」の文字が入っているのですが、シリコンインクのスクリーンプリントで加工。1着の中で2種類のプリント方法を使い分けたハイブリッド仕様です。



ガーメントプリントとDTFの違い
生地にプリントするという目的はDTFもガーメントプリントも同じですが、ふたつのプリント方法にも仕上がりに少し違いがあるのでその特徴などをお伝えします。
ベタ面のプリントの仕上がり方
DTFの一番の強みは、プリント面の仕上がりのきれいさ、特にベタ面の美しさです。ガーメントプリント(DTG)は生地に直接インクをかける方式なので、生地目(繊維の織り目)にインクが入り込まないところがちょいちょい出てきます。白ベタなど面積の大きいデザインだと、「ところどころインクが乗っていない隙間」が見えてしまうことがあります。
DTFはいったんフィルムにインクを乗せてから生地に転写する方式。フィルム上で完成したインク層をそのまま貼り付けるので、生地目の影響を受けないからベタ面がとにかくきれいに仕上がります。



ブラックやネイビーなどの濃色生地への前処理が不要
濃色生地(黒・紺・赤など)へのプリントで、DTFは作業効率に大きな差が出ます。DTGの場合、濃色生地に白いインクを生地乗せるには「前処理剤」を使った下処理が必要です。前処理が必要なので工程が増えればその分時間もかかります。もうひとつ欠点があって前処理剤がボディの色によっては「シミ」になることもあります。そのシミもついてしまうと落ちないことも。
DTFはフィルムにCMYK+白を一気にプリントして転写するだけなので下処理が要りません。作業が単純な分、安定した品質で量を流せます。



プリントする素材の自由度が高い
DTFは転写方式なので、プリント位置の自由度が高いのも特徴です。袖、脇、裾、襟元のすぐ下、生地に少しの段差なら、直接プリントするのが難しい場所にも対応でるのでいろいろなアイテムにプリントできます。




シンプルなデザインで製作数が多い時は
スクリーンプリントの方がいい場合も
DTFは1枚あたりの材料費(フィルム・インク・パウダー)が枚数に比例して積み上がります。シルクスクリーンのように「版を作れば量産は安い」というスケールメリットがあまりありません。50枚〜100枚を超えるロットやシンプルな1カラーなどはフルカラーが使えるスクリーンプリントの方がコスト的に有利になることが多いです。CMYK+白インクでプリントするので鮮やかな発色の蛍光色やゴールド、シルバーなどの色は使えません。



コットンの風合いを残したいときはガーメントプリント
DTFはインクを貼り付ける形になるので、プリント部分の風合いがどうしても生地の風合いを隠してしまいます。コットンTシャツのナチュラルな質感を残したいデザインの場合は、DTGの方が向いています。DTGは生地に直接インクを染み込ませる方式なので、プリント部分も生地の風合いを保ったまま仕上がります。
つまりDTFは、「フルカラーで、素材を選ばず、小〜中ロット」に強いプリント方法。製作枚数やデザイン、生地の風合いの希望に応じて、DTF・シルクスクリーン・ガーメントなど使い分けるのが、仕上がりとコストのバランスが一番取れる選び方です。

おわりに
DTFはまだ比較的新しいプリント方法ですが、主要なプリント方法のひとつとして定着しています。「こういうデザインはDTFでできますか?」「ガーメントプリントとDTFのどちらが良いですか?」といったご相談、いつでも歓迎です。複数のプリント方法を持っているファクトリーだからこそ、デザインや用途に合わせて最適な方法をご提案できます。お気軽にご相談ください。





